やましたレディース・マタニティクリニック「出生前診断(検査)」についてのご説明です

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診療内容

出生前診断(検査)

出生前診断:先天性疾患を調べる検査

はじめに

出生前診断を受けたいと思う理由は、①高齢妊娠、②上の子供に先天性疾患がある、③親族に先天性疾患がある、などですが、何となく心配という方も多いと思います。
今までは主として高齢妊婦を対象に行っていた出生前診断ですが、厚生労働省は「妊娠・出産に関する包括的な支援の一環として、妊婦やそのパートナーが正しい情報の提供を受け、適切な支援を得ながら意思決定を行っていくことができるよう、妊娠の初期段階において妊婦等へ誘導とならない形で、出生前検査に関する情報提供を行っていくことが適当である」と新たに方針を出しています。
出生前診断は全員が受けるものではありませんし、受けなければならないものでもありません。
しかし、それぞれの妊婦やパートナーが先天性疾患とは何か、出生前検査がどのような検査かを正しく理解した上で、検査を受けるかどうか、受ける場合にはどの検査を選択するのか判断ができるよう、出生前検査に関する情報提供を行うことが重要です。
また、どの出生前検査を受ける場合も、妊娠から出産までの期間を包括的に管理・支援できる知識や技能、責任を有する産婦人科専門医によって実施されるべきであり、検査を受ける前に十分な説明・カウンセリングを行うことが不可欠です。

出生前検査

遺伝学的検査(初期精密超音波検査、NIPT、染色体検査など)
主として染色体異常を対象とした検査

形態学的検査(中期・後期精密超音波検査)
心臓、脳、内臓などの臓器に異常がないか診断する検査

①妊娠初期に行う検査(遺伝学的検査)

非確定検査(当院で行っています)
主として胎児に染色体異常(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)の可能性があるかを評価するために行う検査

  • 妊娠12-13週
    初期精密超音波検査(初期ドック)
    OSCAR検査
    コンバインド検査(初期精密超音波検査+OSCAR検査)
  • 妊娠10−15週
    NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)
  • 妊娠15-17週
    クアトロ検査

検査で異常があれば確定検査で診断します。

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*初期精密超音波検査(初期ドック/妊娠12-13週)費用:33000円(当院で妊婦健診を受けている方は27500円)(税込)(検査時間60分程)
①超音波マーカー(NT、鼻骨、静脈管血流、三尖弁逆流)と呼ばれる検査所見を確認して、21、18、13トリソミーの確率を調べます。超音波マーカーは病気では無く、妊娠初期にだけ認められる所見です。これらの検査をするためにはFMF(Fetal Medicine Foundation:英国)の国際資格が必要であり、院長はすべての資格を持っています。計算された数値(トリソミーの確率)から、今後の方針を検討します。
②現時点で観察できる範囲での胎児形態異常を調べます。
(左右の脳の分離や脳内構造、顎の発達、耳の位置、心臓の向き・4つの部屋、胃胞の位置、肺肝境界、膀胱、四肢、へその緒の血管数・血流など)

*NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)(妊娠10週以降)費用:99000円(当院で健診を受けている方・初期ドックを受けた方は88000円)
(事前カウンセリング料5500円、結果のカウンセリング料3300円、オンラインでのカウンセリング+2200円)(税込)
母体血に流れている胎児の染色体の情報を調べることで、21・18・13トリソミーの3つの疾患の可能性を調べる検査です。胎盤から得られた情報であり、胎児を直接調べているのではないため非確定検査ですが、確定検査に近い高い精度です。結果が陽性の場合は確定検査(羊水検査)が必要になります。

NIPTは精度が高い検査ですが、3つのトリソミー以外は全くわかりません。初期精密超音波検査はNIPTよりトリソミーの検査としては精度は低いですが、胎児の形態異常(奇形)を検査することで、染色体異常だけでなく、遺伝子異常や多因子遺伝などの胎児異常を調べる検査です。
初期精密超音波検査でNT肥厚(首のむくみ)やトリソミーに特徴的な所見があればNIPTはお勧めせず、妊娠16週までに確定診断が可能である絨毛検査をお勧めします。
トリソミー以外の先天性疾患も心配されている方は初期精密超音波検査をお勧めします。胎児に形態異常やトリソミーを強く疑う所見が認められない場合に、NIPTを併用することでより診断精度があがります。

*OSCAR検査(One-Stop Clinic for Assessment of Risk)(コンバインド検査)費用:39600円(初期ドックを受けている方は27500円)(税込)
NT(首のむくみ)、母体年齢、既往歴、血清マーカー(PAPPA、freeβhCG)を組み合わせる事により、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの確率を計算する検査です。イギリス、フランス、香港など諸外国では基本的な検査ですが、日本で行われている施設は少なく、この検査もFMF(Fetal Medicine Foundation)のNT計測ライセンスを持った医師だけが測定できます。結果は2日で判明します。
陰性的中率は高いですが、陽性的中率は低い(偽陽性率が高い)ため単独での検査はお勧めしません。

*クアトロ検査(妊娠15−17週)費用:20900円(税込)
4種類のホルモンを測定し、ダウン症、18トリソミー、開放性脊椎管奇形の確率を計算する血液検査です。
陽性的中率は低い(偽陽性率が高い)ため、できれば14週までに他の検査を受ける事をお勧めします。

確定検査(外部へ依頼します)

染色体検査や遺伝子検査で診断する検査

  1. 絨毛検査
  2. 羊水検査

確定検査はお腹から針を刺して胎盤や羊水を採る検査のため流産リスクがあります。まずは非確定検査を行い、染色体異常の確率が高い場合に確定検査を行います。

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*絨毛検査(妊娠11−14週)腹壁から胎盤に針を刺して胎盤(絨毛)の組織を採取して、染色体検査を行います。メリットは妊娠早期に診断結果がでることです。検査によるリスクとして約1%に破水があり羊水検査より高い率です。胎盤性モザイクの結果が出た場合は、16週以降に羊水検査が必要になります。初期ドックの結果、染色体異常の可能性が高い場合、羊水検査ができる妊娠16週まで待つ不安解消のため、早い時期に診断ができる絨毛検査目的で、クリフム出生前診断クリニックへ紹介します。

*羊水検査(妊娠16週以降)腹壁から子宮に針を刺して羊水を採取して、羊水中の胎児の細胞の染色体を調べる確定検査です。
最終的な結果(Gバンド法)には2週間ほどかかります。QF-PCR法を併用することで、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーに関しては1−2日で結果がでます。羊水検査による合併症として約0.3%に破水が起こる事があります。流産に至ることは少なく、入院のうえ、安静で大抵は落ち着きます。
必要に応じて、羊水検査が必要な場合は、日本赤十字社和歌山医療センターかクリフム出生前診断クリニックへ紹介します。

染色体検査が正常でも胎児に形態異常があれば、追加検査(マイクロアレイ検査、エクソーム解析など)が必要になります。

②妊娠中期・後期に行う検査(中期・後期精密超音波検査)(当院で行っています)

大きな奇形を持って生まれてくる赤ちゃんの多くは妊娠経過が順調なお母さんから生まれてきますが、生まれてすぐから治療が必要な病気があります。お腹の中にいるうちに発見できれば、生まれてからの治療やサポート体制を事前に整えることができ、ご両親も出産前に気持ちの準備をしておくことができます。生まれてくる赤ちゃんに対して何ができるか分かることは非常に大切なことです。中期ドック(妊娠18-20週)や後期ドック(妊娠26-30週)は主として、胎児の発育や形態的な異常(先天異常の75%)、胎盤・臍帯の異常を見つけることで、出生前から生まれてくる赤ちゃんの治療を行う準備をすることを目的としています。
また、異常を見つけるだけではなく、個々の臓器に異常がないことを確認し、安心することも精密超音波検査の目的です。

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*中期精密超音波検査(中期ドック)(妊娠18−20週)主な検査内容

  • 左右の脳が分かれているか、脳室や小脳の状態
  • 心臓(4つの部屋、大動脈、肺動脈、肺静脈など)
  • 目の水晶体、鼻骨、顎、耳、口唇など
  • 背骨、手足、へその血管など
  • ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常の検査も含まれます
  • 3D/4Dエコー検査も行います

費用:27500円(税込/30分)(初期ドック、NIPTを受けている方は11000円/税込)
(当院で妊婦健診を受けられている方はこれに準じた精密超音波検査を行いますので、受ける必要はありません)

*後期精密超音波検査(後期ドック)(妊娠26−30週)胎児の心疾患は1000人に6〜7人の割合で、胎児の異常の中で一番多いです。心臓の超音波検査は26週頃が適しており、中期よりも更に詳しく検査をします。心奇形が判明した場合は、小児循環器専門医のいる施設へ紹介します。その他、発育、脳の構造異常、腹部臓器、胎盤・臍帯・羊水の異常がないかなど観察できる範囲で詳細に調べます。

  • 3D/4Dエコー検査も行います

費用:27500円(税込/30分)(初期ドック、NIPT、中期ドックを受けている方は11000円/税込)
(当院で妊婦健診を受けられている方はこれに準じた精密超音波検査を行いますので、受ける必要はありません)

妊娠初期の出生前診断を受ける前に、以下の内容についてもよく考えてください。
  • 生まれてくる子どもは誰でも先天異常などの障害をもつ可能性があること
  • 生まれた後に疾患を発症して障害を持つこともある
  • 先天異常は子供の多様性で、障害は子供の個性の一側面でしかなく、障害という側面だけから子供をみることは誤りである
  • 障害の有無やその程度と本人および家族の幸・不幸は本質的に関連がないこと
  1. 異常があっても妊娠継続する意思があれば、初期の出生前診断を受ける必要はありません。
    生まれてくる子供の準備として、異常が無いかを知りたい場合は、中期・後期精密超音波検査をお勧めします。当院で健診を受けている方は、妊婦健診の補助券で準じた検査を行いますので、受ける必要はありません。
  2. 結果によって妊娠継続するかを含め、先天性疾患(染色体異常、遺伝子異常、多因子遺伝)を心配するのであれば、初期精密超音波検査をお勧めします。また、35歳以上の高齢であれば、NIPTの併用をお勧めします。
    NIPT単独では先天性疾患の約17%しか診断できません。