やましたレディース・マタニティクリニック「子宮頸がんワクチンについて」についてのご説明です

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診療内容

子宮頸がんワクチンについて

① 子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)感染について
子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんで、原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染です。HPVは特別なウイルスでは無く、性交渉があれば感染する可能性がありますが、多くは自然に排出されます。子宮頸部の上皮細胞がHPVの持続感染により子宮頸部異形成という前がん状態を経て、徐々に子宮がんへと悪性化していきます。
発症のピークは30歳台後半ですが、20歳台にも発症し死亡例もあります。
国内では年間約1万人が子宮頸がんを発症し約3000人が死亡しています。
また、子宮頸部異形成の治療法である子宮頸部円錐切除術は、不妊や切迫流早産の原因になります。


子宮頸がんになる率が高いHPV(ヒトパピローマウイルス)の型:16、18、31、33、35、45、52、58型
比較的低い型:39、51、56、59、68型
② HPVワクチンについて
子宮頸がんワクチンはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。多くの国でワクチン接種が行われており、子宮頸部異形成(前がん病変)が減少したため、世界的には子宮頸がん患者は激減しており、将来的には撲滅される可能性があります。しかし、我が国ではワクチンの副反応が問題になりワクチン接種の積極的推奨が停止されていましたが、副反応よりもワクチン接種によるメリットの方が遥かに高いため、ようやく積極的推奨が再開されました。
ワクチン接種による予防効果は高いですが、100%ではありません。子宮頸がん検診を受けることで子宮頸がんを100%防ぐことができます。

ワクチンの有害事象(副反応)
# 局所の疼痛、発赤、腫脹、頭痛、失神、ショックなど
失神やショックなどは、針を刺す痛みや恐怖、その後の緊張からの開放感から来る迷走神経反射と思われ、通常の採血や注射でも起こり、ワクチンによるのではありません。また、痛みへの感受性が強い年齢であることや、自発的な接種意思が弱く(保護者により)半強制的に接種した場合に起こりやすいと言われています。ワクチンの有効性、必要性を理解して接種を希望した方のほうが少ないと思われます。
また、これらの副反応は若年ほど起こりやすいため、ご心配の方は中学3年生から高校1年生での接種をお勧めします(性交がなければ早く接種する必要はありません)。

# 比較的重い有害事象
  • 接種部位に限局しない激しい疼痛、しびれ、脱力など
  • アナフィラキシー:約96万接種に1
  • ギランバレー:約430万接種に1
  • 急性散在性脳脊髄炎(ADEM):約430万接種に1
  • 広範囲な疼痛、運動障害(CRPS):約860万接種に1
国内の調査では、これらの症状は接種していない同年齢女性でも同程度あり、ワクチン接種による因果関係はない事が証明されています。(名古屋スタディ)

重い有害事象の割合を1学年200人の女子中学校に例えると
  • 10万人に約50人くらいが重い症状→10学年(10年)に1人(まれ)
  • 10万人に約5人くらいが後遺症を残す→100学年(100年)に1人(極めてまれ)
  • ワクチン接種をしない場合、子宮頸がんにかかる率→1学年に3人、死亡する率→1.5学年に1人(いずれも高頻度)
ワクチン接種のメリットの方が副反応よりも遥かに高いため、HPVワクチン接種をお勧めします。
③ 公費接種について
対象年齢:
小6(12歳になる年度)の4月2日から高1(16歳になる年度末)の4月1日まで
(期間内に接種完了必要)
ワクチンの種類:
4価ワクチン(ガーダシル)、2価ワクチン(サーバリックス)が公費でしたが、令和5年4月から9価ワクチン(シルガード9)も公費になっています。

シルガード9:HPV16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型、6型、11型
(6型、11型はコンジローマ予防)に対する9価ワクチン
ガーダシル:HPV16型、18型、6型、11型に対する4価ワクチン
サーバリックス:HPV16型、18型に対する2価ワクチン

①初回接種
②初回接種後2ヶ月(初回から1ヶ月以上)
③初回接種後6ヶ月(2回目から3ヶ月以上)

*シルガード9は9歳〜15歳未満では2回接種(①初回接種、②初回接種後6〜12ヶ月)が認められています。2回接種でも有効性が確認されていますが、お勧めは15歳以降での3回接種です。
効果:
  • ガーダシル、サーバリックスで60−70%のHPVが予防できます。
  • シルガード9で80−90%のHPVが予防できます。
  • 中和抗体価・ワクチン効果は接種開始10年以上経った現在で下がっていない事が確認されており、長期間に渡って効果があります。
接種のための必要事項:
  • WEB予約の一般診療枠で予約を取り、ワクチン確保のため当院事務までお電話をお掛けください。
  • 接種に必要な物:本人確認書類(健康保険証等)、母子健康手帳、予診票
  • 予診票は市内の小・中学校を通じて配布されます。
  • 16歳未満は原則として保護者同伴ですが、保護者の署名があれば同伴なしでも接種可能です。
ご不明な点があれば保健所(073−488−5118)にお問い合わせください。

関連HP: ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~(厚生労働省)
ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん)予防接種 (和歌山市)
④ 公費接種年齢が過ぎた方へのキャッチアップ接種について
子宮頸がんはワクチン接種とがん検診で死者を0にできるワクチンであるにも関わらず、全世界で唯一接種を勧めていなかった我が国が、ようやく積極的推奨となりました。それにより公費接種期間が過ぎた方にも公費(無料)接種(キャッチアップ接種)が行われる事になりました。
因みに、今回の対象者が未接種のままであれば、その中から子宮頸がんが原因で1万人の死者が出ることが推測されています。

対象年齢:
平成9年4月2日生〜平成20年4月1日生まで
接種期間:
令和4年4月1日から3年間(期間内に3回接種必要)
薬剤:
4価ワクチン(ガーダシル)が公費でしたが、令和5年4月から9価ワクチン(シルガード9)も公費となっています。

シルガード9:HPV16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型、6型、11型(6型、11型はコンジローマ予防)に対する9価ワクチン
ガーダシル:HPV16型、18型、6型、11型に対する4価ワクチン
サーバリックス:HPV16型、18型に対する2価ワクチン

① 初回接種 ② 初回接種後2ヶ月(初回から1ヶ月以上)
③ 初回接種後6ヶ月(2回目から3ヶ月以上)
  • 接種回数は過去に接種をした回数を含め合計3回になります。
  • ワクチンの交互接種について
    過去にガーダシル、サーバリックスを接種した方で、2回目、3回目をシルガード9で接種することは可能です。同一薬剤で接種することが勧められていますが、交互接種も一定の有効性と安全性があると言われています。
  • 性交経験があり、既に16型、18型に感染していれば予防効果が下がる可能性はありますが、接種するメリットは十分あります。性交経験があれば、早期に接種する事をお勧めします。
接種のための必要事項:
  • WEB予約の一般診療枠で予約を取り、ワクチン確保のため当院事務までお電話をお掛けください。
  • 接種に必要な物:
    本人確認書類(健康保険証等)
    母子健康手帳(過去のHPVワクチン接種歴の確認)
    予診票
  • ワクチン接種歴が不明の場合や接種に関してご不明な点があれば保健所にお問い合わせください。
関連HP: ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~(厚生労働省)
ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がん)予防接種 (和歌山市)
⑤ 自費接種について
平成9年4月1日より以前に生まれた方は公費接種の対象にはなりません。
性交経験があればワクチンの効果が下がる可能性がありますが、予防効果は十分あります。
ご希望の方はシルガード9をお勧めします。

シルガード9:HPV16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型、6型、11型
(6型、11型はコンジローマ予防)に対する9価ワクチン

①初回接種 ②初回接種後2ヶ月(初回から1ヶ月以上)
③初回接種後6ヶ月(2回目から3ヶ月以上)
費用は1回27500円(税込)

・WEB予約の一般診療枠で予約を取り、ワクチン確保のため当院事務までお電話をお掛けください。

ワクチンの有効性・副反応について詳しく知りたい、シルガード9の接種を検討しているなど、事前に説明を希望される方は、通常の診察で受診してください。(自費2200円)