やましたレディース・マタニティクリニック「子宮頸がんワクチンについて」についてのご説明です

お問合せ・ご予約
073-426-8111

診療内容

子宮頸がんワクチンについて

① 子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)感染について
子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんで、原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染です。HPVは特別なウイルスでは無く、性交渉があれば感染する可能性がありますが、多くは自然に排出されます。子宮頸部の上皮細胞がHPVの持続感染により子宮頸部異形成という前がん状態を経て、徐々に子宮がんへと悪性化していきます。
発症のピークは30歳台後半ですが、20歳台にも発症し死亡例もあります。
国内では年間約1万人が子宮頸がんを発症し約3000人が死亡しています。
また、子宮頸部異形成の治療法である子宮頸部円錐切除術は、不妊や切迫流早産の原因になります。
② HPVワクチンについて
子宮頸がんワクチンはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。多くの国でワクチン接種が行われており、子宮頸部異形成(前がん病変)が減少したため、世界的には子宮頸がん患者は激減しており、将来的には撲滅される可能性があります。しかし、我が国ではワクチンの副反応が問題になりワクチン接種の積極的推奨が停止されていましたが、副反応よりもワクチン接種によるメリットの方が遥かに高いため、ようやく積極的推奨が再開されました。
ワクチン接種による予防効果は高いですが、100%ではありません。子宮頸がん検診を受けることで子宮頸がんを100%防ぐことができます。

ワクチンの有害事象(副反応)
# 局所の疼痛、発赤、腫脹、頭痛、失神、ショックなど
失神やショックなどは、針を刺す痛みや恐怖、その後の緊張からの開放感から来る迷走神経反射と思われ、通常の採血や注射でも起こり、ワクチンによるのではありません。また、痛みへの感受性が強い年齢であることや、自発的な接種意思が弱く(保護者により)半強制的に接種した場合に起こりやすいと言われています。ワクチンの有効性、必要性を理解して接種を希望した方のほうが少ないと思われます。
また、これらの副反応は若年ほど起こりやすいため、ご心配の方は中学3年生から高校1年生での接種をお勧めします(性交がなければ早く接種する必要はありません)。

# 比較的重い有害事象
  • 接種部位に限局しない激しい疼痛、しびれ、脱力など
  • アナフィラキシー:約96万接種に1
  • ギランバレー:約430万接種に1
  • 急性散在性脳脊髄炎(ADEM):約430万接種に1
  • 広範囲な疼痛、運動障害(CRPS):約860万接種に1
国内の調査では、これらの症状は接種していない同年齢女性でも同程度あり、ワクチン接種による因果関係はない事が証明されています。(名古屋スタディ)

重い有害事象の割合を1学年200人の女子中学校に例えると
  • 10万人に約50人くらいが重い症状→10学年(10年)に1人(まれ)
  • 10万人に約5人くらいが後遺症を残す→100学年(100年)に1人(極めてまれ)
  • ワクチン接種をしない場合、子宮頸がんにかかる率→1学年に3人、死亡する率→1.5学年に1人(いずれも高頻度)
ワクチン接種のメリットの方が副反応よりも遥かに高いため、HPVワクチン接種をお勧めします。
③ 公費接種について
対象年齢
小6(12歳になる年度)の4月2日から高1(16歳になる年度末)の4月1日まで
(期間内に3回接種必要)
ワクチンの種類
#ガーダシル(MSD):HPV16型、18型、6型、11型に対する4価ワクチン(6型、11型はコンジローム予防)
①初回接種 ②初回接種後2ヶ月(初回から1ヶ月以上)
③初回接種後6ヶ月(2回目から3ヶ月以上)
当院ではガーダシルをお勧めしています。
#サーバリックス(GSK):HPV16型、18型に対する2価ワクチン
①初回接種 ②初回接種後1ヶ月後(初回から1〜2.5ヶ月)
③初回接種後6ヶ月後(初回から5〜12ヶ月)
効果:
  • HPV16型、18型への効果でおよそ60-70%が予防できます。
  • HPV31型、33型、45型にも交差反応による予防効果があるという報告があります。
  • 中和抗体価・ワクチン効果は接種開始10年経った現在で下がっていない事が確認されています。今後も延長されると思われます。
接種のための必要事項:
  • WEBで診療(接種)の予約をとり、ワクチンの確保のため当院事務までお電話をお掛けください。
  • 接種に必要な物:本人確認書類(健康保険証等)、母子健康手帳、予診票 
  • 予診票は中学1年生から3年生は令和4年6月頃に市内の中学校を通じて配布予定です。高校1年生は個別送付予定です。
  • 小学校6年生で希望される方は保健所にお問い合わせください。
関連HP: ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~(厚生労働省)
④ 公費接種年齢が過ぎた方へのキャッチアップ接種について
HPVワクチンは子宮頸がんを予防できるワクチンに関わらず、ワクチン接種の積極的推奨が停止されていました。その間に接種をしなかった方がこのまま未接種であれば、その中から子宮頸がんが原因で1万人の死者が出ることが推測されています。

対象年齢:
平成9年4月2日〜平成18年4月1日生まで(年次延長、令和6年は平成20年4月1日生まで)
接種期間:
令和4年4月1日から3年間(期間内に3回接種必要)
薬剤:
ガーダシル(MSD):HPV16型、18型、6型、11型(6型、11型はコンジローム予防)、サーバリックス(GSK):HPV16型、18型
接種回数は過去に接種をした回数を含め合計3回になります。
接種ワクチンは過去に接種したワクチンと同じワクチンになります。

  • 性交経験があり、既に16型、18型に感染していれば予防効果が下がる可能性はありますが、接種するメリットは十分あります。性交経験があれば、早期に接種する事をお勧めします。
接種のための必要事項:
  • WEBで診療(接種)の予約をとり、ワクチンの確保のため当院事務までお電話をお掛けください。
  • 接種に必要な物:
    本人確認書類(健康保険証等)
    母子健康手帳(過去のHPVワクチン接種歴の確認)
    予診票(当院にあります)
  • ワクチン接種歴が不明の場合は保健所に問い合わせてください。
関連HP: ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~(厚生労働省)
⑤ シルガード9について(自費接種)
シルガード9は高リスク型(16、18、31、33、45、52,58型)と低リスク型(6、11型)に対するワクチンで、88.3%のHPVを予防できます。
(子宮頸がんになる率が高いHPVの型:16、18、31、33、35、45、52、58型)

公費での無料接種を受けずに、より予防効果が高いシルガード9を接種する事もできます。
まれに起こる重い副反応に関しては、ガーダシル・サーバリックスの国内調査では非接種者と差が無く薬剤が原因では無い事が報告されています(名古屋スタディ)。副反応はガーダシルとシルガード9は同等と言われています。
接種間隔は初回、2回目(初回接種から2ヶ月後)、3回目(初回接種から6ヶ月後)の3回
費用は1回27500円(税込)
全例WEBでの事前登録が必要です。
接種は予約制です。当院事務まで電話で予約を取ってください。

ワクチンの有効性・副反応について詳しく知りたい、シルガード9の接種を検討しているなど、事前に説明を希望される方は、通常の診察で受診してください。(自費2200円)