やましたレディース・マタニティクリニック「不育症」についてのご説明です

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診療内容

不育症

不育症(習慣流産)とは、流産、死産を繰り返し、生児を得られない場合を言います。
反復流産:2回連続した流産
習慣流産:連続3回以上の流産

1回の流産率は15−20%と言われ、受精卵の異常によるもの(偶発的に発生した染色体異常)が多いと言われています。
しかし、2回以上連続で流産する場合、母体側に原因がある可能性があります。
流産の原因を検査して、予防(治療)をすることで流産を阻止できることがあります。

不育症の原因について

不育症のリスク因子

  • 子宮形態異常
  • 甲状腺異常
  • 染色体異常
  • 抗リン脂質抗体陽性
  • 第Ⅻ因子欠乏
  • プロテインS欠乏
  • プロテインC欠乏
  • 偶発的流産・リスク因子不明

図:不育症のリスク因子別頻度


n=527(年齢34.3±4.8歳、既往流産回数2.8±1.4回、重複有43件)

検査について

原因を特定するための検査(不育症検査)として以下の項目があります。
一部自費の検査が含まれていますが、原因を特定するために必要な検査です。

1.内分泌検査
  • プロラクチン(月経期)(下垂体機能検査)
  • TSH freeT4(甲状腺機能検査)
  • 糖尿病検査 空腹時血糖、HbA1c
2.自己抗体および抗リン脂質抗体検査
  • 抗核抗体
  • 抗リン脂質抗体 抗カルジオリピンIgG・IgM
    ループスアンチコアグラント(LA)
    カルジオリピンβ2GPI複合体抗体
    抗フォスファチジルエタノールアミン (抗PE抗体) IgG、IgM
3.凝固因子活性

PT・APTT
第Ⅻ因子活性・プロテインC活性・プロテインS活性、ATIII活性

4.子宮形態異常(子宮筋腫、子宮奇形)

経腟超音波検査、MRI検査

5.流産時絨毛染色体検査

受精卵に異常があって流産したかどうかが分かります。胎児の心拍が確認されてから流産を繰り返す場合は検査をお勧めします。

6.夫婦染色体検査:Gバンド

健康なご夫婦でもごく一部の染色体に異常(転座)があり、それが原因で流産率が高くなることがあります。染色体検査の結果によってはご夫婦の不利益になることがあるので、流産時の絨毛染色体検査で異常(転座)が疑われた場合や3回以上流産を繰り返した場合に施行するのが良いと思われます。

治療について

内分泌異常に対しては、薬物治療を行います。
また、抗リン脂質抗体と凝固異常の場合、当院では低用量アスピリンやヘパリン療法を行っています。

Tender Loving Care(TLC)(支持療法)
「優しく、愛情を持って、患者様に接する」という意味ですが、妊娠や流産に対するストレスが更なる流産の原因になるとも言われています。
不育症の原因検索をしっかりと行い、カウンセリングを行います。
夫婦で悩みを共有し、不育症に向かい合うことは重要です。また、できるだけストレスが少ない生活を送れるように、日常生活を変えてみることも重要です。