不妊症
当院で行っている不妊症の検査や治療について
当院は基本的な不妊検査、タイミング法、排卵誘発、人工授精までを行っている一般不妊治療施設です。体外受精が必要な場合は特定不妊治療クリニック(生殖補助医療施設)へ紹介します。
妊娠するためには
- 排卵している、排卵日~2日前に性交がある
- 卵管が詰まっていない
- 精子が十分ある
この3点が必要になります。
まずは排卵しているか、性交のタイミングが合っているかを調べます。
1.基礎体温
排卵の有無、排卵日の推定、黄体期(高温期)の日数より黄体機能の評価ができます。重要な情報が含まれているので、妊娠するまで記録してください。生活が不規則な場合は4時間以上睡眠をとった後の覚醒後に測定してください。基礎体温の測定値はルナルナアプリ(無料)で記録してください(当院PCの大きな画面でご自身の記録を見て、説明することができます)。
2.ホルモン検査、クラミジア検査
①排卵、妊娠に必要なホルモンに異常が無いか血液検査をします。
月経周期の2~5日目にLH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、エストラジオール(卵胞ホルモン)、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)、甲状腺ホルモン(TSH、f-T4)の測定を行います。黄体期中期(排卵確認後5~7日目)にプロゲステロン(黄体ホルモン)の測定を行い、黄体機能不全が無いか調べます。
②卵管性不妊の原因になる骨盤内炎症の既往をみるために、クラミジア抗体検査(IgA、IgG)をホルモン検査時に行います。
③その他の血液検査:風疹抗体検査、甲状腺自己抗体検査、ビタミンD、AMH、抗精子抗体検査など相談して行います。
3.タイミング法
月経期には5mm程度の卵胞が、左右どちらの卵巣で毎月1つだけ発育して、排卵前になると18-22mmの大きさになります。経膣超音波で卵胞の大きさを計測し、Lチェックという尿の排卵検査薬を併用して排卵日の推定を行い、性交のタイミングを指導するのがタイミング法です。排卵のタイミングで性交を行い、その1、2日後に受診していただき、発育した卵胞が消失しているのを超音波で確認できれば、排卵があり、性交のタイミングも合っていると判断できます。
また経腟超音波検査で卵胞の発育を見る際に、子宮筋腫や卵巣腫瘍などが無いかも観察します。
基礎体温は排卵すれば高温期になります。これは排卵した卵胞が黄体になり、黄体ホルモンが出るためです。黄体ホルモンは体温上昇作用があるため高温になります。通常高温期は14日間ですが、黄体ホルモンが少ない黄体機能不全であれば、10日ほどで月経になります。黄体機能不全であれば黄体ホルモンの投与が必要になります。
排卵があり、性交のタイミングも合っているのに妊娠に至らなければ、卵管が通っているかどうか(卵管造影)と精液検査が必要になります。
4.精液検査(予約制)(初診では行っていません)
精液検査は月経頃など妊娠に必要が無い時期に3~4日程禁欲をしていただき、予約日の朝、自宅で容器に精子を採って来院していただきます(ご主人は受診する必要はありません)。精子のカウントは数分で終わりますので、当日結果を説明します。
性交後試験(フーナーテスト)
排卵日頃、性交した翌朝に精子が頸管内に進入しているかどうか、頸管粘液中の運動精子の数を調べます。何度か検査をして精子が認められなければ、抗精子抗体検査、人工授精、体外受精を検討する必要があります。
5.卵管通水検査
卵管が閉塞していないかの確認のため、子宮内に生理食塩水を注入して調べます。同時に子宮内に子宮内膜ポリープなどの病変がないかを確認します。子宮卵管造影ほど精度は高くありませんが、検査後に卵管が通りやすくなり妊娠する事もあります。また、造影剤を使用しないため副作用は少なく、アレルギーなどで卵管造影検査ができない方はお勧めです。
6.卵管造影検査
卵管が閉塞していないかの確認のため、卵管造影は重要な検査です。卵管造影はエックス線を使用する検査のため、当院では行っていません。卵管造影が必要な方は、うつのみやレディースクリニックか日本赤十字社和歌山医療センター産婦人科に紹介し、検査を依頼しています。
7.人工授精
タイミング法を行っても妊娠に至らない場合、人工授精を行います。事前に詳しい説明書および同意書をお渡しします。
卵管が閉塞していたり、精子が少ない場合は自然妊娠が難しく、体外受精が必要になるため、特定不妊治療クリニック(生殖補助医療施設)へ紹介します。
また当院での不妊治療期間が長くなっている方(目安として6ヶ月から1年)や35歳以上の方は特定不妊治療クリニックへ早めに紹介しています。
その他
①喫煙は不妊と関連しています。妊娠が目的のため、必ずご夫婦共に禁煙してください。
②ストレスも原因になります。少し余裕のある生活、適度な運動、気分転換等でストレスが少ない生活を心がけてください。
③不妊の原因ではありませんが、葉酸不足により無脳児や脊椎の奇形になることがあります。
妊娠3ヶ月までは葉酸サプリメントを内服するようにしてください。
和歌山県の一般不妊治療助成制度がありますので和歌山県のホームページでご確認ください。