妊婦に対する百日咳ワクチン接種について
百日咳は、強い咳が長引く感染症で、特に生まれたばかりの赤ちゃんにとっては命に関わることがあります。百日咳の患者数は増加しており、特に乳児における重症例が増加し、さらにマクロライド(抗生剤)耐性百日咳菌も増加しています。日本では、百日咳に対して乳児への百日咳含有混合ワクチンの定期接種が生後2か月以降に実施されています。しかし、生後2ヶ月までの乳児への感染例が多く、またその重症化が問題となっています。特に上の子供さんがいる家庭は、感染に注意が必要です。
世界的には妊娠後期の妊婦に百日咳含有ワクチン(Tdap:百日咳・ジフテリア・破傷風の三種混合ワクチン)を接種することで、母体から乳児への移行抗体を増加させ、乳児の重症化を防ぐ「母子免疫ワクチン」が推奨されています。妊娠中にワクチンを接種することで、抗体が産生され、胎盤を通って赤ちゃんに抗体が移行し、生後2ヶ月までの免疫を上げて、百日咳感染を予防します。
しかし、日本ではTdapは認可・導入されていません。日本で認可されている3種混合ワクチンDTaP(トリビック:不活化百日咳ワクチン、無毒化トキソイド〔ジフテリア、破傷風〕ワクチン)は妊婦への接種が可能です。また、最近の厚生労働省研究班により、妊婦へのDTaP接種の安全性と乳児への百日咳に対する抗体移行が確認されています。
Tdapが使用できない日本国内においては、母子免疫ワクチンを目的とした妊婦へのDTaPの接種が考慮されています。
<接種の時期>
妊娠27~36週の妊婦
抗体ができるまで14日ほどかかるため、当院では妊娠30週頃の接種を予定しています。
(RSウイルスワクチンであるアブリスボは、妊娠32週頃に接種予定です)
*アブリスボとの同時接種は、百日咳に対する免疫応答(抗体産生)が低下するという報告があるため、2週間あけての接種をお勧めします。
<価格>7000円(税込)(他院の方は初診料1100円が必要です)
<主な副作用>
・局所作用:注射部位の腫れ、赤み、痛み
・全身作用:発熱、疲労感
重症の副反応(アナフィラキシー等)は100万回接種に1回未満と極めてまれで、他のワクチンと同等です。
早産の増加や新生児の異常の増加は報告されていません。
*妊婦や新生児への感染リスク低減のための医療従事者や家族への百日咳ワクチン接種 について
乳児の百日咳感染源の多くが家族および医療従事者であることから、妊婦や新生児と接触する医療関係者やご家族に対し百日咳含有ワクチ(DTaP)の接種が推奨されています。



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